野澤組の乳製品コラム!

CHEESE FM 34.1MHz ~チーズって無添加?~

チーズラヴァーズの皆さん、こんばんは~! 今宵も始まりました「Cheese FM」のお時間です。

さてさて、今回はラジオネーム “北海道のジンギスカン” さんからのお便りです。

「ナチュラルチーズの食品表示に原材料『生乳、食塩』と書いてあるのですが、生乳と食塩のみということは、ナチュラルチーズは無添加製品ということでしょうか? 添加物を気にして生活しているので教えてください。」というご質問ですね~。

早速、解説いたしましょう!

さて今日のテーマは「添加物」ということで、これは気になるラヴァーズも多くいらっしゃるテーマなのではないでしょうか?
11月に開催されたチーズフェスタでも、輸入品のナチュラルチーズを購入しようとしている人が同じような質問をスタッフさんにしていたので、気にしている人はいるんだな~というのが私の印象です。
やっぱり食品のパッケージに「無添加」とかって書いてあると、なんとなくそっちのほうがいいのかなって思いますよね

①チーズは無添加?

最初に結論を言ってしまうと、食品表示に記載がなくてもチーズは基本的に無添加ではありません。
…リスナーの皆さんの反応が気になるところですが、添加物を気にしている人はガッカリしてそうですね。でも肩を落とすのはまだ早いですよ!

殆どのチーズ作りには「レンネット」という重要な役割を担っている添加物があります。
今回の質問者さんも仰ってますけど、チーズに使われていても食品表示にはレンネットの名前が出てこないので、普通にチーズを購入して食べているだけだとなかなか知る機会がない存在かもしれません。
ですがパン作りにおけるイースト菌のように、レンネットはチーズ作りに欠かせない添加物ですので、チーズを愛する皆さんにはぜひ知ってほしい!!

…というわけで、今回はレンネットとは何か、どのような理由でチーズ作りに使われるのか勉強していきましょうね!
レンネットの役割を知ったあと、アナタはますますチーズを愛おしく思うようになるでしょう…。

②レンネットの役割について

さて、レンネットについて語りましょう。
まずレンネットとは、生乳を固める作用がある凝乳酵素です。
程よい温度まで加熱した生乳にレンネットを加えると、生乳に含まれるたんぱく質の性質が変化し、生乳が水分と固形物に分かれてくれます。
そこで固形物のみを取り出し、さらに残存する水分を調節したものがチーズということですね。

チーズ作りを見る機会はなかなかないと思うので、生乳が固まるって言われてもなかなかイメージできない人も多いと思います。
うーん、豆腐だったらイメージしやすいかな?
実は豆腐も似たような原理で作られていて、加熱した豆乳に「にがり」という添加物を入れると、水分と固形物に分かれます。
豆腐の場合は、水分に浸ったままの固形物は「おぼろ豆腐」と呼ばれて、さらに水分を絞っていくと「豆腐」になりますね!

チーズも豆腐も液体を固めないことには”チーズ”にも”豆腐”にもなれないのです!
ね? レンネットって、ものすごく重要な添加物だということがわかってもらえましたか?

特にチーズ作りにおいては、この生乳を固める工程が最も難しく重要だと言われています。
モッツァレラチーズのようなやわらかいフレッシュチーズが作りたいのか、はたまたパルミジャーノ・レッジャーノのような長期熟成に耐える硬質チーズを作りたいのか……。
目指すチーズによって微妙な調整が必要で、この工程でチーズの出来栄えが決まるとも言われていますね。

③レンネットの役割

それでは最後にレンネットを食品表示に記載しない理由をお伝えします。
レンネットはチーズ製造においての使用目的上、『加工助剤』として分類されるので、添加物であっても食品表示免除に該当します。

では加工助剤とはなんでしょうか?
“食品の加工の際に使用されるが、(1)完成前に除去されるもの、(2)その食品に通常含まれる成分に変えられ、その量を明らかに増加されるものではないもの、(3)食品に含まれる量が少なく、その成分による影響を食品に及ぼさないもの。” というのが加工助剤の定義です。

複雑ですが、加工助剤だから食品表示に出てこなかったんですね!

さて話が一区切りしたところで、丁度よくお別れのお時間が近くなってきました。
いや~、今回はかなり濃密な内容になりましたね。
食品添加物に対する考え方は千差万別ですが、今回のように添加物がどのような役割で使用されているのかを理解すると、添加物にネガティブな印象を持っている人も見方が変わってきそうですね!
知識を得ることで視野が広がりますので、今後もどんどん知識を蓄えていきましょう♪